国際バカロレア200校計画で見えてきた「日本の教育課題」
ieNEXT編集部は、国際バカロレアが果たしてきた意義と今後について国際バカロレア大使で東京インターナショナルスクール理事長 坪谷・ニュウエル・郁子氏とアオバジャパン ・インターナショナルスクール理事でムサシインターナショナルスクール・トウキョウ理事長の宇野令一郎氏に対談をお願いしました。
1.「国際バカロレア200校で見えた日本の教育課題」は、本ページです。
2.「国際バカロレアで見えてきた小学校の英語教育」は、こちらをご覧ください。
3.「国際バカロレアで見えてきた英語の時間と『質』」は、こちらをご覧ください。
4.「国際バカロレアで見えてきた大学の国際化と『質』」は、こちらをご覧ください。

その対談から浮かび上がってきたのは、インターナショナルスクールだけではなく、現在の日本が抱える教育課題でした。
編集部:ムサシインターナショナルスクール・トウキョウ理事長で、アオバジャパンインターナショナルスクール理事の宇野先生よろしくお願いいたします。国際バカロレア大使で、東京インターナショナルスクール理事長の坪谷ニュウェル郁子先生よろしくお願いいたします。
クラスの定員が多い日本
坪谷:よろしくお願いします。
宇野:坪谷先生は、国際バカロレアのオピニオンリーダーであり、東京インターナショナルスクールの創立者でお聞きしたいことが多くありました。
よろしくお願いします。
国際バカロレアで分かった少人数制の意味
宇野:政府は、これまで公立小学校のクラスの上限人数を、40人から今後35人に減らしていくという発表がありました。

今後5年間の措置で、徐々に35人にしてと思うのですが、以前から坪谷先生は、40人学級に問題意識を持っていらっしゃいました。
まず最初に先生のご感想をお聞かせください。

坪谷:まず前提として、1学級に何人まで生徒がいていいのか、ということが重要です。
日本の学級規模の40人は、世界の国々のなかでも最大規模です。
最大規模というのは、他にはイスラエルと中国がありますが、OECDの加盟国は平均が23~24人です。
40人いるのは、日本だけです。
OECDの加盟国の平均値というのは理想ですが、多いイギリスやドイツが30人ですので、それぐらいまでにもっていかないといけない。

なぜ学級定員を減らすべきなのか?
なぜかというと、今の日本の40人学級の多様な生徒構成にあります。
15%の生徒がついていかれない、つまり落ちこぼれ。
13%の生徒は吹きこぼれっていうんですけれども、学校に行っても既に知っている知識を教えるだけだから、つまんないよと感じていることがある。
さらに2.5%の生徒が発達障害です。
さらにまた、ここのところ日本語をあまり解さない外国人の児童が増えている。
そんな中、1人の先生が40人を教える。
それが現実なんです。
国際バカロレア機構の責任者も驚いた「40人学級」
私は国際バカロレアの導入を始めた時に、国際バカロレア機構の責任者と一緒に日本の教育委員会をいろいろまわりました。