2020年からの学習指導要領の大改訂を考える

Kids at home. A child girl paints a rainbow on a window during the quarantine for the coronavirus pandemic. Social flash mob in support of society. Let's all be well. Stay at home

2020年、新型コロナにより東京オリンピックが延期され、従来の社会の仕組みは、オンラインを中心に変化しました。「答えのない問題」が実生活に起こり、子育てや仕事などワークライフバランスに困惑したご家庭も多いのではないでしょうか。

コロナ禍のように「答えのない問題」をどのように解決していくか。実は、日本の教育は、学びの方向性をまさしく「答えのない問題」を解決する力を養うために方向転化しました。

それが、2020年から実施された学習指導要領の大改訂です。新学習指導要領の概要は、文科省のホームページで公開されています。

学習指導要領は、時代の変化や子どもたちの状況、社会の要請などを踏まえ、約10年ごとに改訂されます。今回の改訂では、英語の強化、アクティブ・ラーニングに代表される「どのように学ぶか」という教授法が盛り込まれた点に特徴があります。

小学校では、現在5年生から開始している「外国語活動」を3年生からに前倒しし、5、6年生では英語を正式教科(年間70単位時間)として学びます。高校の地理・歴史は、日本と世界の近現代史を関連付けた「歴史総合」、世界の多様性を理解する「地理総合」を新設しました。

グローバル化する社会の理解を深めてもらいたい、という視点から開設された科目と思います。また、ディスカッション等による積極的な話し合いを重視し、そこから問題解決力を高めることも謳われています。

インターナショナルスクール運営者の立場からすると、「インターがやっている内容に似てきた」と感じます。事実、日本の小学校の国語の教科書を見ますと様々な点で変わったな、と感じます。また公立小学校の授業参観に行くこともありますが、自分が小学生だった時と比べ、先生方は授業をアクティブにするために、様々な工夫をされているな、と感じます。

ただ1点気になるのは、アクティブラーニングに移行するもののカバーする学習内容は削減していない(むしろ増えている?)、という点です。

誤解を恐れずに単純化して言うならば、左は「系統主義的教育重視」、右は「経験主義的教育重視」です。

日本のカリキュラム – ケンブリッジ国際 – 国際バカロレア – 北欧・モンテッソーリ

右に行けば行くほど、授業における講義=知識インプットの時間は減り、グループワークや対話の時間が増えます。よって、授業でカバーすべき量は取捨選択が必要になります。2年前にデンマークとスウェーデンの学校を視察した際に、何かを覚えさせることはもう最小限にして、考えることと対話することを大変重視している点、リアリスト的な割り切りを感じました。

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アオバ&リトルエンジェルス 宇野令一郎 リトルエンジェルス・インターナショナルスクール理事長、アオバジャパン・インターナショナルスクール理事、熊本大学大学院教授システム学専攻非常勤講師。カナダ・McGill大学経営大学院(MBA)、熊本大学大学院(教授システム学修士)、慶応義塾大学経済学部卒業。2009年より現在まで、プリスクールからオンライン大学まで9つのスクールの設立や学校再生に関わる。 (株)東京銀行(現、三菱東京UFJ銀行)入社後、海外留学等を経て、アジアと国内の投融資事業に従事。2009年よりBBT参画。BBT大学設立準備、初代学部事務局長。2011-2014年、日本eラーニングコンソーシアム理事。2013年よりアオバジャパン・インターナショナルスクール参画。2019年、文部科学省IB教育推進コンソーシアム立ち上げにあたり、発起人。共訳:『学習意欲をデザインする』(北大路書房)、共著:『グローバルに通用する異能を開花する(2015)』「答えのない世界-グローバルリーダーになるための未来への選択(2017)」「自ら人生の舵を取れ(2018)」「21世紀を生き抜く「考える力」(2020)」(ビジネス・ブレークスルー出版)。