仕事がら、常日頃より国際バカロレアとケンブリッジ国際の両方のインターナショナルスクールカリキュラムを見ています。国際バカロレアはそもそも教科書が無く、探究テーマは好奇心を持たせるよう設計します。ケンブリッジ国際は、教科書の内容自体は高度でアカデミックですが、知的好奇心をくすぐるアクティブな活動が各ページごとに感じられ、工夫があるなと感じることが良くあります。
そして、日頃学校で幼児から高校生までの子どもたちを見ていると、特に幼児~小学生期において、いかに「好奇心」が学ぶ意欲の重要な着火剤となっているか、実感します。そしてその好奇心のありかも、子ども一人一人、異なります。
学習の動機づけは私の関心分野でもありますが、ここで、学びと好奇心の関係で分かっているいくつかのことを紹介したいと思います。
・まず、好奇心と学力とは正の相関があり、好奇心は良い学びを誘発することが分かっています。
・創造力の研究で知られるE.P.Torranceは、好奇心の高いグループと低いグループに氷に関する普通でない質問を作るよう指示し、創造性の差異を調査しました。時間の制約を設けた場合は明確な差異はでませんでしたが、制約を設けなかった場合は、高い好奇心を持つ子が多くの質問を作りました。
・Maw&Mawの調査によれば、好奇心の高い子は、自分自身を信頼しており、個人的自由の感覚が高く、不安感が少ない。
さらに、読者の皆さんに役立つかもしれないデータとして、好奇心が高い子どもの親の傾向に関するとして、2つの調査結果があるを紹介します。
・同じくMaw&Mawの調査です。好奇心の高い子どもグループと低い子どものグループに分類し、親の態度と子の好奇心の関連を調査しました。結果、高い好奇心を持つ少年の親は、子どもの独立心を育み、親子間に平等主義(頭ごなしでない)がある傾向がありました。
・サックスとストラックの調査:目新しいものと見慣れたものの両方がある遊戯部屋での母子の行動を調査した結果、高い好奇心と社会性を持つ子どもの母親は、「高い好奇心を有し」「ポジティブな感情を有し」「多い質疑応答があり」「子どもを拘束せず」しかし「常に意識を子どもに注意は常に向け」ていました。
子どもの好奇心を高め、学力を高めたい親としては、子どもが興味を持っている分野を発見し、好奇心を促し、自尊心や自信をつけさせ、自発的に行うことをサポートする、といったことがポイントになると言えそうです。
子どもは誕生時から好奇心を持っています。そして好奇心は能動的なものです。いろいろな習い事なども良いですが、時として習い事の連続で子ども自体が受け身に育ってしまい、結果的に子どもの好奇心の芽を摘まれてしまうのはもったいないと思います。子どもの好奇心を見つけて伸ばすこと、これが生涯を通じて学び続ける人になることにつながると思います。